私たち株式会社装舎は、いまこの瞬間にも世界中で生まれ続ける斬新なアイデアや技術が、“実際に使われる形”にならずに消えていく現状を数多く見てきました。
「これ、一体どうやって動かしたらいいんだろう」「関係者が多すぎて収拾がつかなくなってしまった」──そんな戸惑いを抱えたまま立ち止まるケースを目にするたび、私はいつも歯がゆい思いをしていました。
実装することの難しさは、技術面に限った話ではありません。むしろ、導入や運用体制の整備、組織やステークホルダーの合意形成など、最も“人間的”な部分がボトルネックになることが多いのです。こうした状況を変えたいという想いから、私たちは「装舎」を立ち上げました。新しい取り組みを“本当に動かす”ために必要なこと、つまり関係調整や合意形成、そしてアイデアを0→1に具体化する伴走を担うサービス「Sustain Able Design」を提供することこそが、私たちのミッションです。
私はインターネット黎明期から、デザインやシステムの制作会社を営んできました。まだ「Webサイトって何だろう?」と多くの人が手探り状態だった頃、ITの可能性を信じて走り続けていたのです。おかげさまで、社内外のプロジェクトで多様なサプライチェーンの立ち上げから運用までをお手伝いする機会に恵まれました。
大企業とスタートアップの共同開発、単体メーカーが新たにIT市場へ参入するプロジェクト、海外との合弁事業など、関わった案件は実にさまざま。そこで痛感したのは「せっかく生まれた技術や商品、サービスが、うまく活かされずに終わる」場面が想像以上に多いという現実でした。
たとえば、最先端の技術を持つベンチャーが大企業とタッグを組んでも、社内調整に時間がかかりすぎてプロジェクトが頓挫したり、逆に全く別の部門で似たような取り組みをしていたことが発覚して衝突が起こったり…。そういう“すれ違い”を目の当たりにするうちに、「業界や組織の垣根を越えて、お互いに認め合い、実装へとつなげる仕組みが必要だ」と強く感じました。
プロジェクトが失敗する大きな要因のひとつは、圧倒的な“関係調整不足”です。複数のステークホルダーがいると、それぞれの事情や思惑、優先順位が違うため、合意形成がスムーズに進まない。結果としてモチベーションが続かず、アイデアや技術が“動き出す前”に立ち消えてしまう──私は繰り返し、そんなシーンに出会ってきました。
「なぜ、こんなにもみんなが一生懸命なのに、かみ合わないのだろう?」
突き詰めると、多くの場合はコミュニケーションのタイミングや、それぞれの成功イメージのすり合わせが不十分なのです。さらに、ここに社内決裁や契約関連、予算管理、海外パートナーとの言語的・文化的ハードルなどが加わると、一気に目の前が複雑化します。
しかし、逆に考えれば、こうした“関係調整”さえしっかりと行われれば、本来持っているポテンシャルを花開かせられるチャンスは格段に増えます。私はそこにこそ、Sustain Able Designの存在意義を見いだしました。
Sustain Able Designが目指すのは、いわゆるコンサルティング会社やPMO代行とは少し異なるアプローチです。私たちは“0→1”という新しいステージにフォーカスし、必ず現場に寄り添う形をとっています。机上のプラン作成だけでなく、日々のミーティングやタスクの進捗確認、ステークホルダー同士のコミュニケーション設定などの“調整ごと”を具体的にサポートする──いわば実務型の伴走者です。
たとえば、大手企業とスタートアップの協業においては、社内決裁スピードの違いや視点のズレが必ずといっていいほど発生します。そこで私たちは、両者の担当者がより早く動けるように、合意形成からファシリテーション、意思決定フローの設計まで包括的に支援します。さらにオンラインツールを使ったプロジェクト管理や、必要最小限のシステム導入を提案し、“今あるリソースを活かして素早くスタートできる”ように環境を整えます。
これまでにも、私たちは数多くのプロジェクトの現場で、「あれば便利なのに導入されていないシステム」や「アイデアだけは素晴らしいのに、誰も実行できないまま止まっている企画」を目にしてきました。Sustain Able Designが果たすべき役割は、まさにこうしたアイデアや技術が埋もれてしまわないよう、“日の目を見る”までの道筋を整えていくことです。
私自身、デザインやシステム構築の仕事を通じて、生産者から流通、そして最終顧客に至るまでの段階に多くの問題が潜んでいることを知りました。そこでの学びは、「単発の成功ではなく、持続的に使われ続け、改善され、次のステージへと発展していくプロセスこそが、本当に価値のある創造だ」ということです。
新しいモノが誕生するのは喜ばしいことですが、“実装”されるまでには必ず「合意形成」「教育・普及」「運用・保守」「費用対効果の検証」といった地道なプロセスが伴います。私たちは、その一連の流れを回す“司令塔”として、あるいはプロジェクト全体の“調整役”として、それぞれの持ち味を最大限に引き出す能力を育ててきました。
DXが進み、業界や国境を越えたコラボレーションが日常になりつつある現代では、ステークホルダー同士の繋がりがより端的に成果を左右します。一つのプロジェクトには、技術者、経営陣、投資家、行政、研究機関、海外パートナーなど、多種多様な立場・文化背景を持つ人々が関わります。
こうした環境下で、「関係調整」を後回しにしてしまうと、たった一つのすれ違いがプロジェクト全体の停滞を引き起こす可能性があります。しかし、誰かがしっかりと合意形成や合意内容の“見える化”を主導できれば、逆に多彩なアイデアとリソースを掛け合わせてイノベーションへ昇華させることもできるのです。
Sustain Able Designは、この“関係調整”を専門とし、0→1を確実に前進させる伴走者として存在します。私たちが目指すのは、プロジェクトの成功だけでなく、“続けられる仕組み”をつくること。みなさんの想いが形になり、世の中に定着し、次の可能性へとバトンを渡せるよう、その架け橋となるのが私たちの使命だと考えています。
Sustain Able Designという名には、「持続可能な形で、価値のあるデザインを世の中へ届けたい」「一瞬の盛り上がりではなく、今あるリソースを活かしつつ組織や社会へ長く浸透させたい」という想いを込めています。実装されないまま消えていく革新的なアイデアを減らしたい。新しいプロジェクトが徐々に形となり、多くの人に受け入れられて育っていく、そんな未来を実現したい──それが私たちのビジョンです。
少しでも「うちの企画も動きが遅れがちかも」「コラボ相手と話が合わなくて困っている」と感じたなら、ぜひ私たちに声をかけてください。技術やアイデアは、使われて初めて真の価値を持つものです。その価値を繋ぎ、活かし切るための“関係調整”を、私たちは実務レベルでお手伝いします。あなたの組織が抱える可能性やリソースを、一つの豊かなストーリーとして“世の中へ届ける”伴走者として、Sustain Able Designはいつでも走り続けます。
新しいモノを創り出す人たちは、誰しも大きな情熱とアイデアを持っています。あなたが持つ可能性を無駄にしないためにも、「関係調整」の重要性を、今一度見つめ直してみませんか?
その一歩が、きっと未来を大きく変えていくはずです。