近年、経済産業省の「DXレポート」や総務省の「情報通信白書」などでも指摘されているように、企業が競争力を維持するための焦点は**「デジタル技術の導入量」ではなく、「意思決定の質」**に移っています。
つまり、どれだけAIを導入しても、判断が早くなっただけでは意味がなく、
**「一貫性のある判断」**が行える組織こそが価値を持つのです。
多くのAI導入プロジェクトが失敗する理由は、AIが組織の判断構造を理解していないことにあります。
ChatGPTなどの生成AIを単体で使っても、「なぜそう判断したか」が組織として説明できない。
結果として、AIの提案が現場の判断と乖離し、
“人が確認するための手間”が増え、真の自動化にはならないという課題が生まれます。
装舎のAI×業務プロセス設計では、まず組織の判断プロセスをモデル化します。
たとえば、以下のようなプロセスをAIが理解できる形に構造化します。
総務:経費申請の妥当性判断
カスタマーサポート:回答方針の統一
品質管理:検査結果の基準との照合
このプロセスにRAG(Retrieval-Augmented Generation)などの技術を組み込み、AIが人の判断基準や過去の判断記録を参照しながら**「一貫した判断」**を補助する仕組みをつくります。
この仕組みの効果は、単なる自動化ではなく**“再現性のある判断”**を可能にする点です。
属人化していた意思決定が形式知化され、
誰が判断しても同じ品質の結果が得られるようになります。
これにより、
判断のスピードと精度の両立
判断の根拠を明確にできるトレーサビリティ
新任者や他部門でも同水準の判断が可能
といった効果が生まれ、組織全体の「判断品質」が底上げされます。
判断プロセスを共通化することは、同時に組織の文化を整えることでもあります。
装舎の導入先企業では、AIの判断基準を共有することで
部門間の認識ズレが減り、「組織としての考え方」が明文化されました。
AIが“人の感覚”を置き換えるのではなく、“感覚を言語化して引き継ぐ”ことで、
組織は初めて学習する存在になります。
AIによって自動化された組織の中で、最も重要なのは「人の感覚をどう残すか」です。
装舎のAI×業務プロセス設計は、
単なる効率化ではなく、“人が積み重ねてきた判断の質”を技術で継承する仕組みです。
それは言い換えれば、
**「感覚に頼らず、感覚を守る仕組み」**を設計すること。
これこそが、持続可能で信頼される組織の姿だと私たちは考えています。