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地域全体で取り組む6次産業化

―― 小規模事業者が手を取り合う「仕組みの実装」とは

地域における6次産業化の本質は、個々の事業者が自社完結で加工・販売を行うことではなく、地域全体で“業務プロセスを共有”し、共通の品質基準とデータを持つことにあります。
AI×業務プロセス設計を導入することで、各事業者の判断や手作業のばらつきを減らし、「個別経営の集積」ではなく「地域としての持続可能な生産体制」を実装することが可能になります。

1. はじめに:個別の成功では、地域は持続しない

6次産業化は、2010年代以降に政策的にも注目され、多くの地域で取り組みが進められてきました。
しかし実態として、単独の生産者や法人が加工・販売を担うモデルは持続しにくいという課題が顕在化しています。
主な理由は以下の3点です:

  • 担い手不足による運営継続の困難

  • 販売・加工・物流などの分業コスト増大

  • ノウハウが属人化し、共有・継承が難しい

この構造を変えるには、“1社・1農家の努力”ではなく、地域全体でプロセスを設計し直す視点が求められています。

2. 課題:小規模事業者を阻む「構造的な壁」

特に小規模事業者が直面する問題は、「経営リソースの分散」と「データの不在」です。

  • 販売チャネル・顧客情報・製造プロセスが統合されていない

  • Excelや紙帳票での管理に留まり、連携が困難

  • 加工場や物流施設の利用スケジュールが見えない

結果として、同じ地域の中で

  • A社は在庫過多、B社は出荷遅延、C社は販売機会損失
    といった非効率が同時多発しています。

3. 事実:データと連携が生む“地域としての競争力”

一方で、国内外の成功事例では共通点があります。
それは、「共通データ基盤」上で各事業者が連携する仕組みを導入していることです。

例:

  • 鹿児島県某地域では、農産加工・物流・販売事業者がPower Platformを用いて出荷計画を共有

  • 北欧の地方都市では、食品トレーサビリティをAIで自動更新し、EU輸出基準を全事業者が共通で満たす体制を構築

このように、データによる業務共有が、地域ブランドの品質保証の礎になるのです。

4. 実装の鍵:AI×業務プロセス設計による「共同オペレーション基盤」

装舎が取り組むのは、単なるAI導入ではなく「業務そのものをAIと共に再設計」することです。
地域全体を1つの“仮想企業”として捉え、共通のプロセスを設計します。

導入ステップの一例:

  1. 業務モデル化:各事業者の加工・出荷・販売の手順をデジタルで可視化

  2. 判断ルールの定義:品質基準や承認フローをAIが支援

  3. データ連携:Power Apps・Dataverseなどを活用し、既存システムと接続

  4. モニタリングと改善:AIが日次で異常値や改善ポイントを提示

この仕組みにより、

  • 小規模事業者でも安定した品質・納期を実現

  • 行政や金融機関への報告・申請業務が効率化

  • “地域としての信頼性”がデータで可視化される

といった成果が期待できます。

5. ケーススタディ:複数事業者をつなぐサプライチェーン設計

ある地域では、4社の農産加工業者と販売組合が協力し、装舎が設計した「共有オペレーション基盤」を導入。
結果として、

  • 出荷スケジュールの調整時間を70%削減

  • 廃棄率を40%削減

  • 加工品販売の平均単価が15%上昇

といった数値的効果が確認されました(実装モデルによる概算値)。
これにより、地域全体が“分散型組織”として機能し、1社では不可能な規模の受注・品質管理が可能になりました。

6. まとめ:個の努力を「地域の仕組み」に変える

6次産業化は、単なる「新しい事業モデル」ではなく、地域の生産構造そのものを再設計する取り組みです。
AI×業務プロセス設計によって、これまで属人的だった判断や経験が“地域の仕組み”として共有される。

それは「地域が1つの知能を持つ」ことを意味します。
そして、その知能こそが、地域の持続可能性=SUSTAINABLE DESIGN の実現を支えるのです。

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