AI導入の可否は「技術の有無」ではなく、目的の明確化とプロセス設計の成熟度で判断すべきです。
AIは万能ではなく、既存の業務構造を理解せずに導入すれば、コスト増・生産性低下・現場混乱を招くリスクがあります。
装舎が考える最適なステップは、「まず人と業務の関係を見える化し、AIが本当に価値を出せる範囲を定義すること」。
その結果、導入を“見送る”判断も、十分に戦略的で価値ある選択になり得ます。
多くの企業が、AI導入を“最新トレンド”として取り入れようとしています。
しかし、実際にAI導入を成功させている企業の共通点は、「技術導入の前に業務設計が行われている」ことです。
IDC Japanの調査によると、国内でAI導入を検討した企業のうち、**約68%が「期待した効果を得られなかった」**と回答しています。
原因の多くは、AIを「付加価値を生む手段」ではなく、「既存業務の置き換え」として導入してしまったことにあります。
AIを有効に機能させるためには、業務そのものの構造──つまり判断・承認・実行の流れを理解し、データとしてモデル化することが不可欠です。
AI導入の是非を判断するには、以下の3つの視点を整理する必要があります。
視点 | 確認すべきポイント |
---|---|
① 目的 | AI導入で「どんな意思決定」や「作業の再現性」を高めたいのかを明確にする |
② データ | AIが学習・判断できるほどのデータ量・品質・整備体制があるか |
③ 運用 | 現場でAIが出した結果を誰が判断し、どのように業務に反映させるかを定義しているか |
この3つの条件のいずれかが欠けている場合、AIを導入しても“効果が出ない仕組み”になってしまいます。
装舎が支援する現場の多くでは、AI導入の前段階で以下の課題が浮き彫りになります。
同じ業務を担当者ごとに違う手順で行っている
承認・判断のルールが明文化されていない
AIが処理すべき情報がシステム上で分散している
これらの状態でAIを導入しても、“バラついた業務”をAIが正確に再現できるはずがありません。
AIに求めるのは「学習」ではなく「標準化された仕組み」の上での“再現性”です。
装舎では、まず現場のプロセスをモデル化し、どの判断をAIが担い、どの部分を人が担うのかを定義します。
これが、単なる自動化ではなく、AIが組織の力として機能する状態をつくる鍵です。
AI導入を見送ることが「逃げ」ではなく「戦略」になるケースもあります。
データが十分に整っていない場合
業務手順が標準化されていない場合
現場のオペレーションが属人化している場合
このような状態でAIを入れても、誤判定・過学習・現場の混乱を招き、かえって生産性を下げるリスクがあります。
装舎は、こうした場合に「AIを導入しない方がよい」と提案することもあります。
その代わりに、業務モデルを設計し、データが自然に蓄積される仕組みを先に構築します。
このフェーズを経ることで、AI導入が“自走可能な仕組み”に変わります。
装舎が実践するのは、AI導入の前段階である「業務プロセス設計」です。
これは、AIが動く“舞台”をつくる工程であり、主に以下の3ステップで構成されます。
業務の可視化:現場の判断や承認の流れをモデル化
データ構造の整理:業務データ・判断データをAIが扱える形式に整備
AI導入の適正診断:AIが担う範囲と、人が担う範囲を明確化
このステップを踏むことで、AIが動く理由と価値が明確になり、組織がAIを正しく使いこなせる状態が生まれます。
AI導入の目的は「導入すること」ではなく、「組織の判断と行動を高めること」。
そのためには、導入しないという選択もまた、最適な戦略になり得るのです。
装舎は、その判断のための基盤づくりから伴走します。