INSIGHT|コラム・リサーチ
実務者が主役になるAIプロジェクト
──学びながら価値を生み出す仕組み
AI導入の成否を分けるのは“技術の完成度”ではなく、“現場との共創力”である。
SUSTAIN ABLE DESIGNのように、現場が主導し、実際の業務を題材に小さな検証を重ねていくプロセスこそ、
「使えるAI」「活かせる組織」をつくる最短ルートだ。
1. 変化の始まりは「試してみた」から
多くの企業がAI導入に二の足を踏む理由は、「効果が出るか分からない」「自社の業務に合うのか不安」といった不確実性です。
しかし、実際に装舎の共創コミュニティに参加した企業の多くは、**“完璧な設計”よりも“まず試す文化”**から大きく変化しました。
たとえば、ある製造業の企業では、カスタマーサポートの問い合わせ対応の一部をAIで支援する実験を行いました。
最初は限定的な範囲から始め、問い合わせ履歴や対応記録を整理し、AIが学習しやすいように業務フローを整備。
1ヶ月後には、対応時間が平均25%短縮し、同時に「AIが提示する提案を確認する」というプロセスが新人教育の教材にも転用されました。
“AI導入”は目的ではなく、“業務を再構成するトレーニング”でもある。
共創とは、AIに任せることではなく、AIと一緒に現場の仕組みを磨くことです。
2. 共創の中で見えてくる「組織のクセ」
検証フェーズでは、単にAIを動かすだけでなく、組織内部のプロセスや判断の流れが可視化されます。
たとえば承認プロセスにおいて、部門によって基準が異なっていたり、判断が個人依存になっている箇所が明らかになることもあります。
SUSTAIN ABLE DESIGNでは、これを**「プロセスの透明化」**と呼び、
AIが扱うデータや処理ロジックを通して、組織内の“暗黙知”を“共有知”に変換するサイクルを設計します。
この段階で参加者が気づくのは、
「AIのチューニング」よりも、「人の判断プロセスを整理すること」が一番の改善になる
という現実です。
結果として、AIは現場理解の媒介となり、
異なる部門が同じデータとフローを共有しながら意思決定できる環境が整っていきます。
3. 小さな成果が信頼をつくる
共創の最大の成果は、「現場に合った形で成功体験を積む」ことです。
前述の製造業の事例では、AI支援システムをサポート部門から全社展開するまでに半年を要しましたが、
その間、現場が主体的に改善を提案し続けたことが成功の要因でした。
また、ある自治体の業務改革プロジェクトでは、AIによる文書検索機能(RAGモデル)を導入した結果、
職員の資料検索時間が1/3に短縮し、過去の判断履歴を即座に参照可能に。
これにより、政策決定の一貫性と透明性が大きく向上しました。
このような成功は、“上からのAI導入”ではなく、現場が共創プロセスに関与したことで生まれています。
つまり、AIが「組織を動かす力」になるためには、
まず現場が「やってみる」ことを受け入れる文化が必要なのです。
4. 共創の本質──「AI導入」ではなく「知識の共有基盤」づくり
装舎が提案するAI×業務プロセス設計は、単なる自動化ではありません。
組織に散らばった知識、判断、手順を構造化し、AIがそれを再利用可能にする仕組みです。
SUSTAIN ABLE DESIGNでは、参加企業や自治体がその仕組みを共同で検証し、
自社の実務の中で検証・改善を繰り返しながら“持続可能な業務デザイン”を構築していきます。
5. 最後に──「共創」は始めることが一番の成果
AI導入のROI(投資対効果)を語る前に、まず必要なのは「現場が自分ごととして動く体験」です。
SUSTAIN ABLE DESIGNは、そのための**“実践の場”**として存在します。
完璧な計画よりも、小さな実験が組織を変える。
共創の始まりは、「まず一歩踏み出す勇気」です。