多くの組織で、熟練担当者の退職や異動によって業務が停滞するケースが増えています。
帝国データバンクの調査(2023)によれば、約70%の企業が「業務の属人化」を経営リスクとして認識しています。
特に中堅企業や自治体では、
暗黙知に依存した判断
個人フォルダやメールに閉じた業務データ
「この人でないとできない」体制
が慢性化しており、効率以前に業務の継続性そのものが危うい状況です。
多くの企業は、退職時の引き継ぎや業務マニュアルの作成で属人化を防ごうとします。
しかし、実際にはこの方法では再現性は保てません。
なぜなら、実務上の判断は常に“文書化できない”情報に依存しているからです。
たとえば顧客対応や稟議の判断には、
・その時点の状況
・相手との関係性
・社内の優先順位
といった文書外の要素が関わります。
装舎が行うのは、これらの「状況判断」をプロセスとして可視化・モデル化することです。
つまり、業務を“再現可能な構造”として残す仕組みをつくります。
装舎では、業務設計を「フローの整理」ではなく、判断構造の定義と捉えています。
たとえば次のようなステップで進めます。
実務の流れを可視化(As-Is分析)
どのような情報をもとに、誰が、どのように判断しているのかを把握。
意思決定のルールを抽出(Decisionモデル化)
人が持つ判断パターンや基準を、データ項目として明示化。
AIやシステムとの連携設計(To-Be構築)
Power AppsやDataverseなどを活用し、情報の流れを一元管理。
これにより、「個人のノウハウ」から「組織の知識」へと転換します。
属人化を防ぐには、業務データの統合も欠かせません。
装舎では、Microsoftの標準基盤(Power Platform/Azure AI Searchなど)を用い、
現場が入力した情報がそのままナレッジとして活用できるように設計します。
これにより、
担当者が変わっても同じ基準で対応できる
AIが過去の判断例を参照し、提案を提示できる
組織全体で業務の偏りやボトルネックを把握できる
といった**「見える化+再現化」**が実現します。
たとえば製造業A社では、熟練技術者が行っていた品質判断をモデル化し、
AI×プロセス設計で工程全体に共有しました。
結果、技術者の引退後も同品質の製品を安定的に生産できるようになり、
クレーム対応や再検査工数が30%削減されました。
また、サービス業B社では、問い合わせ対応をAIナレッジ検索に統合。
対応履歴と顧客属性を自動照合することで、
応答スピードが平均40%短縮、顧客満足度も改善しました。
属人化を解消する本質は「自動化」ではなく「再現化」です。
つまり、人がいなくても業務が動くのではなく、人が変わっても同じ判断ができること。
装舎は、AI×業務プロセス設計を通じて、
「人の力を仕組みで支える」組織づくりを支援します。
属人化を防ぐことは、単に効率化ではなく、組織の未来を守る設計なのです。