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「AIが考える前に、人が設計する」

——Azure OpenAIを業務に組み込むための思考法

AI導入で成果を出す企業は、共通して「AIを動かす前に業務の構造を設計している」。
Azure OpenAIは強力な生成能力を持つが、業務で成果を上げるにはプロセス設計・データ設計・判断設計の3層を明確にモデル化する必要がある。
AIに“考えさせる”ためには、まず人が“どう考えるか”を定義することが最も重要である。

1. なぜ「AIが考える前に人が設計する」必要があるのか

AI導入が進む中で、多くの現場が陥るのは“ツールの導入=業務改革”という誤解です。
実際、Microsoft社が公開している2024年のWork Trend Indexでは、

「生成AIを導入した企業のうち、明確な業務設計を伴ったプロジェクトは全体のわずか18%」
とされています。

多くの現場では、AIチャットの導入により一時的に効率は上がりますが、
組織の意思決定や承認、判断構造の整理が追いつかず、結果的に再現性が失われるケースが多い。

装舎では、この課題を「プロセス設計の欠如」と定義しています。
AIを“考える存在”として機能させるためには、まず「何を」「どのように」「誰が」考えるのかを人が先にモデル化する必要があります。

2. Azure OpenAIを業務に組み込むための三層設計モデル

AIを業務に実装する際、装舎が重視しているのは以下の 三層構造 です。

(1)プロセス設計層:業務フローの構造化

  • 現在の業務手順を明文化・可視化する

  • 承認、報告、判断など「意思決定点」を特定する

  • Microsoft Power Automate や Logic Apps で自動化ルールを定義

(2)データ設計層:情報の再利用設計

  • Dataverse で業務データを整理・構造化

  • Azure Cognitive Search(RAG)で「業務の知識」をAIに参照可能化

  • 機密データをローカル・クラウドで適切に分離(Zero Trust準拠)

(3)判断設計層:人とAIの役割分担を明確化

  • 「AIが提案し、人が決定する」構造を維持

  • Azure OpenAI API の出力を業務画面(Power Appsなど)で再利用

  • 提案内容を評価・改善するフィードバックループを設計

これらを統合することで、AIは単なる“自動応答システム”ではなく、
人の判断を補完し、組織知を学習する業務支援インフラとなります。

3. 失敗事例に見る「設計なきAI導入」の落とし穴

現場でよく見られる典型的な失敗パターンは次の通りです。

誤った導入アプローチ結果として起きる問題
ユーザー部門が独自にChatGPTを試験導入情報漏えい・ガバナンス不整合
AIチャットで問い合わせ対応を自動化品質低下、属人対応の増加
データを学習させずにプロンプトのみで運用回答の不安定化、再現性の欠如

装舎では、これらの失敗原因の多くを**「設計前に運用を始めている」**ことにあると分析しています。
AIは“正しい問い”を与えられなければ、現場を混乱させるだけの存在になってしまうのです。

4. Azure OpenAIを活かすための“思考設計”のフレームワーク

AI導入時、最初に行うべきはツール選定ではなく、次の3つの問いを設計することです。

  1. 何を最適化したいのか?(目的)
     例:承認リードタイムの短縮、顧客応対の標準化

  2. どの情報をもとに判断しているのか?(データ)
     例:社内ナレッジ、法令情報、顧客履歴

  3. AIと人の役割をどう分けるか?(責任)
     例:AIが案を作り、人が最終承認

この3つを明確に定義した上で、
Azure OpenAI の API・Power Platform・Cognitive Services を組み合わせることで、
“動く業務知”が構築できます。

5. 装舎が提供する「AI×業務プロセス設計」の実践価値

装舎のアプローチは、AIシステムを「組織の知性を支える構造」として再設計するものです。

  • 技術的支援:Azure OpenAI・Power Platformを活用した業務統合

  • 設計支援:業務プロセス・データ・判断構造のモデリング

  • 共創支援:SUSTAIN ABLE DESIGN コミュニティでの検証・改善・共有

この3つを組み合わせることで、
AIが人の判断を置き換えるのではなく、判断の質とスピードを高めるパートナーになります。

まとめ:AIを動かすのは、仕組みではなく設計思想

AI導入の本質は、技術の採用ではなく、人とAIが共に考える仕組みをつくることです。
Azure OpenAIはその強力な基盤であり、
装舎はその上で動く“業務知のデザイン”を支援します。

AIが正しく機能する未来は、AIが考える前に人が設計した思想によって支えられています。

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