INSIGHT|コラム・リサーチ
Power Platform × Azure OpenAIで実現する、現場主導の業務自動化
― 現場が主役のAI活用が「真の効率化」をもたらす理由 ―
AI導入の本質は「業務をAIに置き換えること」ではなく、現場の判断や知恵を構造化し、再現性のあるプロセスにすることにあります。
Microsoftの Power Platform(Power Apps / Power Automate / Power BI / Dataverse)と Azure OpenAI を組み合わせることで、非エンジニアの現場担当者でも、自らの業務フローをAIで自動化・強化できる環境が実現します。
装舎はこの技術基盤をベースに、「AIが実際に機能する組織構造」をデザインし、プロセスごとに最適化された業務AIを共創します。
1. なぜ「現場主導」が重要なのか
多くのAI導入プロジェクトが失敗する理由は、設計を現場が担っていないことにあります。
業務の細部を知るのは、日々その現場で意思決定している人たちです。
彼らが自らの業務をモデル化し、AIに「どの判断を支援させたいか」を定義することが、最も確実な生産性向上につながります。
Power Platformは、まさにそのための「民主化された開発基盤」です。
ExcelやSharePoint、Teamsなど日常業務の中で使われるMicrosoft 365と密接に連携でき、現場の担当者が自分たちの手でアプリや自動化フローを構築することが可能です。
2. Power Platform × Azure OpenAI の技術構成
この組み合わせは、AIによる“理解・判断”と、人による“操作・管理”を橋渡しする構造を持ちます。
主な構成要素:
Power Apps:業務アプリをノーコードで作成。入力・承認・報告などの画面を構築。
Power Automate:AIを含む業務プロセスの自動実行。通知・データ連携・承認ループを統合。
Dataverse:すべての業務データを安全に統合・管理。履歴・権限・監査性を保持。
Azure OpenAI Service:自然言語処理・要約・分類・RAG検索などを実現。
Azure AI Search + RAG構成:社内ナレッジや文書を検索・回答精度を高める。
この構成により、「AIが情報を理解・提案し、人が最終判断する」プロセスが安全に成立します。
3. 実際の適用例:現場で動く“AIプロセス”
ケース①:カスタマーサポートの問い合わせ自動対応
課題:FAQや過去ログを人が都度参照し、回答品質にばらつきがある。
導入構成:Azure OpenAI + AI Searchで過去回答をRAG検索 → Power Automateで担当者に自動提案。
効果:対応時間が平均40%短縮、回答精度の一貫性が向上。
ケース②:総務・経理の承認ワークフローの自動補助
課題:承認プロセスが紙・メール中心で追跡が困難。
導入構成:Power Appsで入力フォームを統一 → Dataverseで履歴を管理 → Azure OpenAIが承認判断を支援。
効果:承認リードタイムが2〜3営業日から数時間へ短縮。
ケース③:ナレッジ検索・要約レポートの自動化
課題:過去文書の情報が散在し、判断材料の抽出に時間がかかる。
導入構成:Azure OpenAIの要約モデル+Power BIで要約を可視化。
効果:意思決定の初期調査時間を約70%削減。
4. 装舎の役割:技術ではなく「機能する組織」を設計する
装舎は単なるAI導入ベンダーではなく、AIが機能する組織構造そのものを設計する立場です。
Power Platformの技術を中心に、
AIが判断を支援する「プロセスのモデル化」
担当者が安心して使える「権限・監査構造の設計」
継続的に学習できる「運用のトレーニング体系」
を一体として提供します。
結果として、AIが単なる効率化ツールではなく、組織の継続的な成長基盤になります。
5. 今後の展望:自動化の先にある“組織の知能化”
Power Platform × Azure OpenAIの導入は、単なる「自動化」では終わりません。
現場で日々動く業務データが、次の意思決定に活かされる「学習する組織」へと進化します。
この仕組みをもとに、装舎は自治体・製造・サービスなど多様な領域で、AIが文化として根付くプロセスデザインを推進しています。
まとめ
Power Platform × Azure OpenAI の強みは、現場の知恵をAIで再現可能にすること。
そして、それを「設計できる組織」をつくることこそが、装舎の提供価値です。
AIが主役ではなく、人と現場が主導するAIのかたちを一緒に実現していく。
——それが、装舎が提案する「機能する自動化」の本質です。