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AI導入で“人の判断”を消さないために

——プロセスデザインのバランスとは?

AI導入の目的は“判断の代替”ではなく、“判断の質を高めること”にある。
そのためには、業務プロセスをAIに置き換える前に、判断の構造をモデル化し、人がどこで関与すべきかを設計することが不可欠である。

装舎が提唱する「AI×業務プロセス設計」は、単なる自動化ではなく、人の直感や経験を活かしながら再現性を高めるデザインアプローチである。
結果として、組織は“人がいなくても回る”ではなく、“人がいるから進化できる”システムを手に入れる。

1. なぜ「判断の自動化」は危険なのか

近年、多くの企業がAIを導入する目的として「業務効率化」「自動化」「人件費削減」を掲げている。
しかし実際には、判断を自動化したことでトラブルやリスクが増えた事例が少なくない。

たとえば——

  • AIによる顧客対応の自動化で、クレーム対応の判断を誤り炎上したケース

  • 発注や在庫管理の自動最適化が、現場の暗黙知を無視して欠品を生んだケース

これらの背景には、「判断」が単なる条件分岐として扱われたことがある。
つまり、「AならB」といったロジックで人の判断を置き換えてしまうと、状況判断の背景にある“文脈”や“感情”が失われるのだ。

2. 判断を設計する——AI導入前に行うべきこと

装舎では、AI導入の前に必ず「判断プロセスの構造化」を行う。
これは、業務の中でどのような情報が集まり、誰がどの基準で判断しているかを明らかにする作業だ。

たとえば、ある自治体の補助金申請フローでは、

  • 書類チェックはAIが実施(形式的判断)

  • 審査基準の一部は人が確認(文脈判断)

  • 最終決裁は複数人で議論(社会的判断)
    という階層化された判断モデルを採用している。

このように、AIが担うのは「再現性が高い・判断基準が明確な部分」、
人が担うのは「価値観・倫理・優先順位を伴う部分」と明確に線を引く。

この線引きこそが、**AIと人間の協働を成立させる“デザインのバランス”**である。

3. 「判断の構造」を技術で支える:Azure OpenAIの活用

判断構造を支えるために、装舎ではAzure OpenAI + Microsoft Power Platform + Dataverseの組み合わせを採用している。

この構成により、

  • AIが過去データ・ナレッジベースを参照(再現性の担保)

  • Dataverseで判断履歴を蓄積し、組織知として再利用(継続的学習)

  • Power Automateで判断の前後をトリガー制御(人の介入ポイントを明示化)
    といった「人の判断を守りながら進化するプロセス」を構築できる。

特にRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を用いたナレッジ参照では、AIが“勝手に答える”のではなく、組織が信頼する情報源を根拠に応答を生成する
この「説明可能性(Explainability)」が、AIへの信頼と業務適用の鍵になる。

4. 判断の“ブラックボックス化”を防ぐデザイン思想

AI導入後に多くの現場で起きる問題は、「なぜその判断になったか」がわからなくなること。
これを防ぐため、装舎は次の3つをプロセス設計に組み込む。

  1. 判断の根拠データを常に可視化する(透明性)

  2. AIが関与した箇所をログ化し、人間が再検証できる状態にする(追跡性)

  3. 人間が最終判断に介入するタイミングをあらかじめ定義する(責任の所在)

これにより、AIの判断プロセスが“共に使いながら成長する”仕組みへと変わる。

5. 組織が変わる——AIがもたらす「判断の共有文化」

AI導入後の最も大きな変化は、判断の再現性が組織文化を変えることだ。
属人的に行われていた意思決定が、データと文脈に基づく共有知になる。

装舎が構築するAI×プロセス設計は、

  • 「判断を記録する」ことで、属人化を防ぎ、教育コストを削減

  • 「判断の理由を共有する」ことで、部門間の連携を強化

  • 「判断結果を学習させる」ことで、組織が持続的に進化

という、**“人とAIの共同意思決定体制”**を実現する。

まとめ

AI導入とは、人間の代替ではなく、人間の理解を深めるための設計である。
「判断を自動化」するのではなく、「判断の構造を共有し、進化させる」。

そのために必要なのは、AIを導入する前に——
業務と判断の流れを再設計すること

装舎が行う「AI×業務プロセス設計」は、まさにそのためのアプローチであり、
**組織の知恵とAIの再現性を両立させる“判断のデザイン”**である。

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