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プロンプト設計の勘所

——現場が使えるAIを作るための“言葉の設計”

プロンプト設計は、AIの性能を左右する「最前線の設計技術」です。
生成AIの性能が同じでも、どのように問いを構築し、文脈を制御するかで成果は数十倍変わります。
とくに装舎が扱うような業務プロセスへのAI導入では、
単なる質問文ではなく、「業務手順そのものを言語構造化したプロンプト」が必要になります。

すなわち、プロンプト設計とは、AIを“正しく使うための教育”ではなく、
業務そのものをAIが理解できる形に翻訳する技術です。
この技術が、現場に溶け込むAIを実現し、組織全体の知的生産性を支えます。

1. AIが「間違う理由」は、プロンプトの設計にある

多くの企業が生成AIの導入でつまずく原因は、「AIが賢くない」ことではありません。
問題の多くはプロンプト(AIへの指示文)の設計不備にあります。
AIは人間のように暗黙の前提や業務文脈を理解しないため、
「誰が」「どの条件で」「どの目的のために」使うのかが曖昧だと、出力の一貫性が崩れます。

装舎が現場支援で分析した結果、
社内で同じ質問をしても部門ごと・人ごとにAIの回答精度が20〜40%変動するケースが確認されています。
これは、プロンプトの構造化が不十分なことが主因です。

2. プロンプト設計とは何か——AIを制御する“思考のUI”

プロンプト設計とは、単に「AIに質問を投げる技術」ではなく、
人の思考・意図・判断基準をAIが再現できるように言語的に構築する行為です。

技術的には、次の3層で設計されます。

内容目的
コンテキスト層背景情報・目的・ロール設定AIに“誰として”答えさせるか
指示層質問・制約・手順の指定出力の構造と論理を明確にする
出力制御層フォーマット・語調・粒度結果の再利用性を高める

この3層設計が整っていないと、AIの回答は常に「曖昧で使えない」ものになります。

3. 現場で求められるプロンプトの3条件

装舎のプロジェクトでは、プロンプト品質を以下の3指標で評価します。

  1. 正確性(Accuracy):業務要件を正しく反映できているか

  2. 再現性(Reproducibility):誰が入力しても同じ出力が得られるか

  3. 意図理解(Intent Alignment):AIが人の判断基準を適切に補助できるか

これらを担保するため、装舎では「プロンプトテンプレート+プロセスログ解析」を組み合わせ、
プロンプトを業務設計単位で標準化しています。

4. 現場で起きる典型的な失敗例

  • 曖昧な依頼:「良い提案を出して」→出力が散漫

  • 情報過多:長文の仕様書をそのまま入力→AIが焦点を見失う

  • 更新ミス:プロンプトが担当者ごとに改変→出力品質が崩壊

これらの失敗は、すべてプロンプトが業務構造に紐づいていないことが原因です。
したがって「AIの出力改善」は、テキスト修正ではなく業務プロセス設計の再構築として扱う必要があります。

 

5. 良いプロンプトを設計するための具体的アプローチ

装舎が採用する代表的手法は以下の通りです。

  • 構造化プロンプト:目的・条件・出力形式を明示する

  • Few-Shotサンプル:理想の回答例を提示し、AIに模倣学習させる

  • メタプロンプト設計:AIに自らの思考手順を言語化させる

  • 検証ループ構築:AI出力をログ解析し、再訓練なしで改善

このプロセスをDataverseやAzure OpenAI API上で自動化することで、
企業はナレッジ資産をAIが理解可能な構造に変換できます。

6. Azure OpenAIでの実装事例:プロンプト設計が変えた業務効率

ある中堅製造企業では、カスタマーサポートの文書対応時間を65%短縮
背景には「AIが正確に社内手順を理解する」ためのプロンプト設計がありました。
AIの回答そのものよりも、「どんな入力設計をしたか」が成果を決定づけたのです。

7. 装舎が“プロンプト設計”を業務プロセス設計と結びつける理由

AIの出力は、あくまで業務手順の一部です。
したがって装舎では、AIが扱う情報・判断・責任範囲を業務フロー設計図に統合します。
これにより、AIが人間の作業を“置き換える”のではなく、
人の判断を補完し、組織全体の知的作業を再構築することが可能になります。

まとめ|AIは“聞き方”で変わる

AIは質問の仕方で変わります。
そして、現場が本当に求めているのは「AIの性能」ではなく、
正しく問いを立て、再現できる仕組みを作る力です。

装舎のプロンプト設計は、
AIを“ツール”ではなく組織の知的機能として動かすための設計技術です。
これが、装舎が掲げる「AI×業務プロセス設計」の本質的価値です。

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