INSIGHT|コラム・リサーチ
Power Automate × Azure OpenAI:AIが自然に仕事をつなぐ時代へ
― 現場で動くAIオートメーションの実践リファレンス ―
Power AutomateとAzure OpenAIを組み合わせることで、企業や自治体は「単純な自動化」から一歩進んだ、人の思考・判断・意思決定を含むプロセスの知能化を実現できます。
この統合は、単に“AIを動かす”のではなく、既存業務の自然な流れを壊さずにAIを溶け込ませることを可能にします。
装舎はこの統合を通じて、現場で動くAIシステムの設計・構築・実装支援を行っています。
1. 人の判断とシステムの動きを「自然につなぐ」時代へ
これまでの自動化ツールは、「定型業務の効率化」を目的としていました。
しかし、実際の業務の多くは、「人が判断する」部分がプロセスの要所を占めています。
Power AutomateにAzure OpenAIを統合することで、AIが自然言語を理解し、状況に応じて判断を補助する仕組みが実現できます。
たとえば——
メールの内容をAIが要約し、緊急度別に自動振り分け
問い合わせ内容から適切なナレッジをAIが検索・提示
報告書のドラフトを生成し、上長に自動で承認フローを送信
こうした流れが、人の判断プロセスを残したまま自動で接続されることが、次の世代の“業務設計”のあり方です。
2. Power Automate × Azure OpenAIがもたらす「知能化プロセス」
この連携の最大の特徴は、「トリガーと応答の間に“考える”プロセスが挟める」点です。
従来のワークフローは “If–Then” 型で構築されていましたが、AIが入ることで**「If–Then–Think–Then」**という新しい構造が可能になります。
技術的には以下の構成で動作します:
要素 | 役割 |
---|---|
Power Automate | 業務イベント(メール受信、フォーム送信など)のトリガーを管理 |
Azure OpenAI (GPT / Embeddings) | 内容理解、要約、分類、文章生成などを実行 |
Dataverse / Azure SQL | 構造化データの保存・履歴管理 |
Power Apps / Power BI | フロントUI・可視化レイヤーを提供 |
この構造により、AIが現場データを理解・参照しながら最適な判断を支援する「知能化ワークフロー」を実現できます。
3. RAG・Copilot・Power Platformの連携実装
AIが正確に応答するためには、社内ナレッジや履歴情報と連携することが不可欠です。
装舎では、Azure Cognitive Search + Azure OpenAIを利用したRAG(Retrieval Augmented Generation)構成を採用し、現場の実データを元にAIが回答する仕組みを設計しています。
さらに、Power PlatformのCopilot StudioやLogic Appsと組み合わせることで、
AIが会話の流れの中でワークフローを実行
チャットボット経由で承認・報告が完結
部門を横断したデータ連携をセキュアに運用
といった形で、自然言語ベースの業務操作が可能になります。
4. 設計思想が問われる理由——「自動化」ではなく「調和」
AIを業務に導入する際の最大の課題は、「既存の人の動きや判断をどう扱うか」です。
装舎はこの点で、**AIを“置き換える”のではなく、“調和させる”**ことを重視しています。そのための設計指針は以下の3点です:
現場の実態を観察し、AIが補うべき部分を定義する
AIが誤答や誤判断をした際の回復フローを設計する
AIの判断結果を“再利用できる知識”として蓄積する
こうして、AIが組織のナレッジを育てる循環を形成します。
5.提供する支援範囲
装舎では、Power AutomateとAzure OpenAIを中心とした以下の支援を提供しています:
AI×業務プロセス設計(As-Is/To-Be設計)
現行業務のヒアリングからAI導入のプロセス設計まで。PoC・パイロット導入支援
特定部門(例:総務・経理・カスタマーサポート)での先行導入と実証。Azure OpenAI + Power Platform構築支援
API連携・プロンプト最適化・RAG設計の実装支援。教育・ナレッジ定着プログラム
社内担当者が自走できる状態をゴールとした伴走支援。
まとめ
Power Automate × Azure OpenAI の統合は、
「AIが人の仕事を奪う」ではなく、「AIが人の思考と判断を自然につなぐ」新しい業務スタイルを実現します。
この設計思想に基づき、装舎は組織や現場が自らの文化を保ちながらAIを実装できる仕組みを提供しています。
その結果、組織は単なる効率化ではなく、再現性・持続性・創造性を備えた業務プロセスへと進化していくのです。