INSIGHT|コラム・リサーチ
DataverseとLogic Appsの連携で、社内データの“ひとつの流れ”をつくる
― バラバラな業務を「つながる業務」に変える、マイクロソフト標準基盤の実践法 ―
DataverseとLogic Appsを連携させることで、組織全体のデータがリアルタイムに流れる“ひとつの情報循環系”を構築できる。
これにより、属人的な報告や確認、重複入力といった「情報の断絶」が解消され、組織は“プロセスの透明化・再現性・持続性”を同時に獲得できる。
1. 現場で起きている課題:
多くの企業・自治体で、業務データは次のように「分断」されています。
営業はExcelで管理
経理は会計ソフト
総務はSharePointやメール
顧客対応はTeamsチャットやForms
この状態では、
「最新のデータがどこにあるのか」
「承認された情報はどこに反映されるのか」
といった**“業務の真実”が点在**してしまい、AIを導入しても十分に機能しません。
2. Dataverseが果たす役割:
Microsoft Dataverse は、Power Platformの中核を担う共通データ基盤(Common Data Service)です。
ExcelやSQLのような単なるデータベースではなく、
「データ構造・権限・バリデーション・履歴管理」を組織全体で共有できる“業務の背骨”となるプラットフォームです。
Power AppsやPower BIとネイティブに連携
セキュリティはMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)準拠
API・外部サービスとも接続可能
つまり、Dataverseがあることで、
「部門ごとにバラバラだった業務データを、共通の言語で保存・更新・共有できる」ようになります。
3. Logic Appsがつなぐ“データの流れ”:
Dataverseに格納されたデータを「生きた業務データ」として運用するために必要なのが、Logic Appsです。
Logic Appsは、クラウド上で自動化フローを構築できるサービスで、以下の特徴があります:
400種類以上のコネクタで他システム(Teams、Outlook、SQL、Salesforceなど)と接続可能
ノーコードで設計可能、保守も容易
Azure FunctionsやAI Builderなどとの連携も可能
例えば次のようなシナリオが実現できます:
事例① 承認フローの自動化
Power Appsで申請 → Dataverseに保存
Logic Appsが自動で承認者にTeams通知
承認後、経理データベースに自動反映
事例② 顧客対応データの統合
Formsで受け取った問い合わせ → Dataverseに格納
Logic Appsが顧客IDを照合し、履歴をPower BIに可視化
これにより、**“入力されたデータが自動的に全システムを動かす”**という状態を実現します。
4. 導入効果と経営インパクト:
項目 | Before(導入前) | After(導入後) |
---|---|---|
データ更新 | 手作業で重複入力 | 自動反映・単一ソース化 |
部門間連携 | メールやExcelのやり取り | Dataverseを共通基盤に統合 |
承認スピード | 担当者依存 | Logic Appsで自動通知・追跡 |
ガバナンス | 監査・履歴管理が煩雑 | Dataverseが自動でログを保持 |
経営判断 | 過去データの集計に時間 | Power BIとリアルタイム連携 |
5. 装舎の提供する価値:
多くの組織では「Logic Appsを導入したい」と思っても、
どのプロセスを対象にすべきか
Dataverseの構造をどう設計するか
セキュリティやガバナンスをどう維持するか
という設計段階でつまずきます。
装舎では、単なるツール導入ではなく、
「現場での自然な行動に沿ったプロセス設計」から「実装・運用・検証」までを伴走します。
Dataverse+Logic Appsは、組織が未来に向けて自走するための最初の実装ステップです。
6. まとめ:
DataverseとLogic Appsの連携は、単なる“業務効率化”ではなく、
組織が自らの知識を構造化し、時間の経過とともに成熟するための仕組みづくりです。
それは「AIを導入する」ではなく、
AIが自然に機能する組織をつくるという、装舎が掲げる本質的な目的に直結しています。