INSIGHT|コラム・リサーチ
APIを知らなくてもできる!Logic Appsで外部サービスをつなぐ方法
― ノーコードで「つながる業務」を構築する、新しい標準 ―
これまで、異なるシステム同士を連携させるには「API(Application Programming Interface)」の理解と開発が必要でした。
しかし、Microsoft Azureの Logic Apps を活用すれば、ノーコードで外部サービス間のデータ連携やワークフロー自動化が可能 です。
特に、Office 365、Teams、SharePoint、Slack、Google Drive、Salesforce、さらにはLINEなど――業務現場で使われる多くのサービスが「コネクタ」として標準提供されています。
つまり、
“つなげるための専門知識”が不要になり、
“活かすための発想力”が現場に戻ってきた。
これが、Logic Appsがもたらす最大の変化です。
1. API連携の従来の課題
従来のシステム間連携は、
開発言語(Python, JavaScript, C#など)の知識が必要
APIキーや認証処理、リクエスト構造の理解が不可欠
セキュリティ設定や更新管理が属人化
といった壁があり、現場担当者や非エンジニアには実質的に扱えませんでした。
その結果、
「連携を依頼→開発待ち→テスト→調整」と、数週間〜数ヶ月かかるケースも少なくありませんでした。
2. Logic Appsがもたらす“ノーコード連携”の仕組み
Logic Appsは、Azure上で動作するクラウドネイティブの統合ワークフローサービスです。
特徴は以下の3点に集約されます。
特徴 | 内容 |
---|---|
1. コネクタモデル | Teams、Outlook、SharePoint、OneDrive、Salesforce、Slack、Googleなど、1,000種類以上のサービスと接続可能。 |
2. トリガー&アクション構成 | 「もしAが起きたら、Bを実行する」という条件をGUIで設定可能。 |
3. 認証の自動管理 | OAuthやAPIキーの管理を自動化し、セキュリティリスクを最小限に。 |
3. 実例:社内チャットから自動でタスク管理
ケース:Teamsで届いた顧客依頼を、Plannerに自動登録する
Logic Appsでは、以下のような流れを“数分で構築”できます。
トリガー設定:「Teamsで特定チャンネルにメッセージが投稿されたとき」
条件分岐:「メッセージ内に“依頼”というキーワードを含む場合」
アクション:「Plannerに新しいタスクを作成し、担当者を自動で割り当て」
これらを、APIドキュメントを読むことなくGUI操作で設定できます。
結果、現場担当者自らが“動く連携”を設計できるようになります。
4. 装舎が支援するポイント
Logic Apps単体でも強力ですが、装舎は以下のような業務設計の観点を加えることで、
“点の連携”を“線の仕組み”へと発展させます。
業務プロセスの可視化:何を自動化すべきかを、業務フローから抽出
連携ルールの定義:属人化を防ぎ、再現可能な仕組みに
AIとの統合:Azure AI SearchやRAG連携により、知識ベースを活用
安全な運用体制の設計:承認権限、データ保護、監査ログを考慮
これにより、Logic Appsを単なるツール導入ではなく、**「組織の知的なインフラ」**として実装できます。
まとめ|APIを意識しない“現場駆動の自動化”へ
Logic Appsの本質は、「非エンジニアでもシステムを動かせる世界」をつくることにあります。
装舎が目指すのは、このテクノロジーを単なる効率化ではなく、
“現場が自ら設計し、維持し、改善していける仕組み”
として根付かせること。
APIの知識がなくても、自社の業務を理解している人が仕組みを作れる。
それが、装舎が提供する 「AI×業務プロセス設計」の中核であり、
SUSTAIN ABLE DESIGN が描く“持続する仕組みづくり”の最初の一歩です。
6. まとめ:
観点 | Power Automate | Logic Apps |
---|---|---|
対象 | 個人・小規模チーム | 組織全体・システム統合 |
主な利用目的 | 日常業務の自動化 | 部門・企業間プロセスの連携 |
管理方法 | ユーザー単位 | サービスアカウント管理 |
拡張性 | 限定的 | 高い(API・外部接続・AI連携) |
コスト構造 | ユーザーライセンス課金 | 実行従量課金 |
ガバナンス | 手動運用中心 | 組織単位のポリシー設定可能 |