INSIGHT|コラム・リサーチ
“安全性の証明”から“価値の可視化”へ──トレーサビリティの第二章
― データが語る信頼の時代、装舎が目指す次の品質設計 ―
これからのトレーサビリティは「安全の担保」ではなく、「組織の価値を証明する仕組み」である。**
従来のトレーサビリティは、「問題発生時の追跡」や「規制への対応」を目的として構築されてきました。
しかし、AIと業務プロセス設計を活用した新しいトレーサビリティは、単なる“証明の仕組み”ではなく、
**「データを活かして信頼と価値を共に設計する仕組み」**へと進化しています。
装舎はこの構造を、企業や生産現場の業務プロセスそのものに組み込み、
透明性・再現性・継続性を同時に実現する“第二章”のトレーサビリティを設計しています。
【1】従来型トレーサビリティの限界:証明のための記録
かつてのトレーサビリティは、
「異物混入」「製造ロット管理」「リコール対応」など、問題解決のための証明手段でした。
紙台帳やExcel、バーコードなどによる追跡記録が中心で、目的は「安全性の証明」に限定されていました。
しかし現実には、
データの分断(部門・企業間で連携できない)
記録コストの増加(人力作業・非効率)
活用されない情報(保管されるだけ)
といった課題が山積しています。
結果として、多くの現場では「管理のための仕組み」が、「現場を圧迫する構造」になってしまっていました。
【2】第二章のトレーサビリティ:価値の可視化に向けた転換
AIやクラウド技術の進化によって、
トレーサビリティは「何かあったときに使う記録」から「日々の仕事をより良くするデータ」へと役割が変わっています。
装舎ではこの変化を “プロセス設計としてのトレーサビリティ” と定義しています。
各業務(生産・検査・配送・顧客対応)のプロセスをモデル化
各段階で発生するデータを自動的に取得・連携
生成AIやナレッジベースで状況を可視化し、判断を支援
これにより、
「何を作ったか」ではなく「どんな姿勢・基準・判断で作ったか」が記録として残ります。
つまり、“安全性”の証明から“信頼性と価値の証明”へと進化するのです。
【3】技術的リファレンス:データ構造と信頼の設計
装舎が構築するトレーサビリティ基盤は、Microsoft標準技術を活用した オープンなサプライチェーン連携モデル です。
項目 | 概要 |
---|---|
データベース層 | Dataverseを利用し、製品・工程・ロット・担当者情報を統合管理 |
アプリケーション層 | Power Appsで現場入力UIを簡素化、業務ルールをAIモデルに自動反映 |
AI推論層 | Azure AI SearchとRAG構成により、過去の判断・報告・結果を参照可能 |
可視化層 | Power BIで品質・納期・信頼度をリアルタイムに可視化 |
連携層 | Logic Appsを通じて社内システムや外部取引先と自動同期 |
この構成により、
データは単なる“報告”ではなく、品質を裏付ける対話的リソースとして活用されます。
【4】事例:食品生産現場での導入結果
ある食品メーカーでは、製造ロットごとに原料・工程・検査データを自動で記録し、
各ロットに対して「信頼スコア」をAIが算出。
そのスコアを卸・小売・消費者が共有できるようにした結果、
クレーム対応時間が75%削減
ブランド認知が“安全→誠実”へ転換
他業種との共同開発プロジェクトが発足
トレーサビリティは品質保証から共創の起点へと役割を変えました。
【5】装舎が提供する価値
「現場で動く品質保証」と「社会に伝わる誠実さ」の両立
装舎が目指すのは、
「証明書のための記録」ではなく「現場の誠実さがデータになる仕組み」。
これにより、
組織の信頼性を継続的に示せる
品質や生産の文化を次世代に継承できる
サプライチェーン全体が“共に成長する関係”を築ける
という、持続的で人間的な技術社会の実現を支援します。
最後に — 次の一歩へ
トレーサビリティは、もう「規制対応のため」ではありません。
それは、あなたの仕事が誠実であることを世界に伝えるための言語です。
装舎では、各組織の現場の流れを丁寧に読み解き、
AIとプロセス設計を通じて、信頼の仕組みを共にデザインします。