INSIGHT|コラム・リサーチ
小さな現場こそ導入しやすい
──現場発トレーサビリティの始め方
トレーサビリティは「大企業向けの仕組み」ではありません。
現場の判断・報告・承認といった日常の業務データをそのまま活かすことで、
中小規模の生産現場こそスモールスタートで即日導入が可能です。
装舎は、Microsoft Power Platform と Azure の標準技術を用い、
既存業務を止めずに**「現場で動くトレーサビリティ」**を実現します。
1. トレーサビリティは「管理」ではなく「共有」
多くの現場では、
「トレーサビリティ=大企業の品質管理システム」という誤解があります。
しかし本質は、「誰が・いつ・どの工程で・何をしたか」を正確に共有できる状態をつくること。
中小の現場では、エクセルや紙伝票、チャットなどで記録が分散しており、
いざトラブルが起きたときに「どの情報が最新か」が曖昧になりがちです。
装舎が採用するアプローチは、
現場担当者の記録方法を変えずに
データを一元化して
自動的に時系列で管理・可視化する
という**「現場負荷ゼロの構造設計」**です。
2. 導入の第一歩は「情報の流れ」を可視化すること
導入初期に最も重要なのは、「システム導入」ではなく「現場のプロセス理解」です。
装舎では、AI×業務プロセス設計をベースに以下の手順で進めます。
ステップ | 内容 | 技術例 |
---|---|---|
Step 1 | 業務フローの棚卸し | 現場ヒアリング、プロセスマッピング |
Step 2 | 情報の発生・移動・変換の可視化 | Power Automate, Power BI |
Step 3 | データ入力点を明確化 | モバイルフォーム, QRコード入力 |
Step 4 | データ構造を統一 | Dataverse, Azure Table |
Step 5 | モニタリング・分析基盤の構築 | Power BI, Azure AI Search |
この5ステップにより、導入後1〜2週間で
「どのデータを取ればいいか」「どこまで記録すべきか」が自然と見えてきます。
3. 中小規模現場に最適な理由:柔軟性と即効性
小さな現場では、
現場の人の判断で運用変更ができる
部署をまたぐ承認フローが少ない
データがすぐに経営判断に反映される
というスピードと柔軟性が強みになります。
装舎のトレーサビリティ設計は、
これらの強みを最大化するために「ノーコード/ローコード」を基本とし、
Power Apps・Logic Apps・Teams Botなどを活用して、
現場担当者自身が更新・改良できる形で実装します。
これにより、導入=変革ではなく、
導入=日常業務の延長線上に設計できるのが特徴です。
4. データが「経営資産」に変わる
トレーサビリティのデータは、単なる履歴ではありません。
そこには、「改善の手がかり」「品質の再現性」「顧客への信頼証明」が含まれています。
例えば──
食品加工現場では、原材料ロット・温度履歴・作業者ログを自動連携し、異常検知の即時アラート化。
製造業では、設備稼働・検査結果・納品履歴を統合し、歩留まり改善を実現。
流通業では、出荷履歴と返品データをAIが照合し、リスク要因を予測。
これらのデータは、取引先や監査対応にも転用でき、
結果的に「取引の安定性」や「信頼性の高いブランド価値」を高めます。
5. 導入のゴール:持続可能な品質と信頼の仕組み
トレーサビリティのゴールは「証明書を発行すること」ではなく、
日々の業務が“信頼の仕組み”として積み上がることです。
装舎では、SUSTAIN ABLE DESIGNコミュニティを通じて、
導入企業が互いにナレッジを共有し、AIによるデータ分析・品質検証を行うネットワークを構築しています。
この共創型の仕組みが、
小さな現場にこそ必要な「持続的な品質保証」と「社会からの信頼」を生み出します。
まとめ:装舎が考える“現場発トレーサビリティ”の価値
現場の業務フローを止めずに、AIとデータを融合させる
導入初期から改善と再現性を実現する
生産者自身が“品質の語り手”になる
小さな現場こそ、変化を起こせる現場。
トレーサビリティは、あなたの仕事の「誠実さ」を社会に伝える新しい言語です。