INSIGHT|コラム・リサーチ
「第三者証明の時代」から「自らが語るデータの時代」へ。
──AI×業務プロセス設計で実現する、生産現場主導のトレーサビリティ。
従来の品質証明は「外部の認証」に依存していました。
しかし、現代の市場では“どのように作られたか”を生産者自身が語ることが信頼の源になります。
装舎は、AI×業務プロセス設計を通して「現場のデータを語る言葉」に変換する仕組みを提供します。
1. 外部認証から“自律的な品質保証”への転換
これまでの品質保証は、ISO・HACCP・JASなど、第三者機関の認証を取得することで成立してきました。
しかし、近年この構造には3つの課題が指摘されています:
認証取得や更新に膨大なコストがかかる
書類上の形式が重視され、現場実態との乖離が生まれる
消費者が「認証マーク」だけでは信頼を判断できなくなっている
特に欧州や北米では、サプライチェーン全体の透明性が評価基準になっており、
「どのように生産され、誰がどの判断をしたか」がデータとして参照されることが求められています。
2. 生産者自身が“語るためのデータ”とは何か
「語るためのデータ」とは、記録がストーリーとして理解できる構造を持つデータを指します。
単なる数量や温度などの定量データだけでなく、以下の要素を含むことが重要です:
項目 | 内容 | 技術的実装例 |
---|---|---|
生産プロセス | 栽培・製造・加工・輸送の一連の工程 | Power Apps + Dataverseによる現場入力 |
判断ログ | いつ・誰が・何を基準に判断したか | Azure AI Search + RAGで記録検索可能に |
環境データ | 天候・温湿度・使用資材など | IoTセンサー連携/Power BIで可視化 |
顧客接点 | クレーム・問い合わせの内容 | Dynamics 365連携でトレーサブル対応 |
ナレッジ | 過去事例・暗黙知 | Teams+SharePoint+RAGによる蓄積 |
これらをAIが理解できる構造で記録し、検索・参照できるようにすることで、
「証明書がなくても語れる」品質保証が可能になります。
3. 装舎が提供する「AI×プロセス設計」の技術的フレーム
装舎のアプローチは、「AIを導入する」のではなく「業務をAIで構造化する」ことに重点を置いています。
そのため、以下の3つのレイヤーで設計を行います。
🧱 レイヤー1:データ生成レイヤー
現場業務をモデル化(承認・報告・判断プロセス)
Microsoft Power Platform を用いて人とシステムの接点を最適化
🔄 レイヤー2:データ連携レイヤー
Dataverse・Azure Logic Apps により、既存システム・センサー・外部DBと統合
部署・企業・行政を超えたデータ連携を実現
🧠 レイヤー3:知識化レイヤー
Azure OpenAI・AI Search・RAG構成で、記録から判断根拠を抽出
「AIに聞けば現場の履歴が語れる」ナレッジ連携基盤を構築
この3層が機能することで、AIは認証の代理ではなく、現場の声をデータとして翻訳する役割を果たします。
4. 実際に変わること:現場・経営・市場
導入後に変わるポイントは明確です。
領域 | Before | After(装舎導入後) |
---|---|---|
現場 | 記録作業が属人化 | データ入力が自然な業務フローに統合 |
管理 | 形式的な書類提出中心 | 現場データがそのまま監査証跡に活用 |
経営 | 問題発生時の原因追跡が困難 | プロセス単位で判断履歴を即時参照 |
市場 | 消費者への情報発信が制限的 | データをもとに“自分の言葉で語る”PRが可能 |
結果として、品質保証の信頼性が外部依存から現場発信へとシフトし、
企業やブランドが「データで誠実さを証明できる」時代の先頭に立てます。
まとめ
装舎のAI×業務プロセス設計は、単なる自動化ではありません。
それは、生産者が“自らの仕事を語れる構造”を持つ組織をつくるための設計です。
証明ではなく、語るためのデータを。
それが、装舎が実現する“持続可能な品質のデザイン”です。