紙とExcelでの記録は、一見効率的に見えても、
情報の属人化・非構造化・再現性の欠如を生み、
結果的に“品質の証明”を困難にしています。
装舎が提案するトレーサビリティ設計は、
現場の作業プロセスをデータモデル化し、Microsoftの標準基盤(Power Apps・Dataverse・Azure AI Search)上で再現可能にすることにより、
データの蓄積・再利用・共有が自動で行われる仕組みを実現します。
これは単なる“デジタル化”ではなく、
人の判断や現場の知見がAIとともに継承される仕組みを作ることを意味します。
多くの現場では、品質・工程・出荷履歴などが紙帳票やExcelで記録されています。
一方で、サプライチェーンの高度化・輸出入の透明性強化・ESG対応が進む中で、
**「証明できる品質」**が求められる時代に入りました。
しかし、紙とExcelの管理は次のような課題を抱えています:
担当者ごとに記録の形式が異なり、データの一貫性がない
記録を分析・再利用するのに時間がかかる
トレーサビリティを第三者に示すときに再構築が必要
更新ミス・重複・属人化により、現場の負担が増大する
多くの企業では、**“今のやり方をデジタルに置き換える”**形でシステム化を試みます。
しかし、この方法では「見た目がデジタルな紙帳票」になってしまい、
根本的な改善にはつながりません。
装舎では、問題の本質を
「情報がどのように生まれ、どのように意思決定に使われるか」
というプロセス設計の不在と捉えています。
装舎はまず、現場の業務を詳細に分析し、
承認・報告・判断のプロセスをモデル化します。
このモデルをもとに、
作業記録(現場入力)
データ統合(Dataverse)
検索・参照(Azure AI Search + RAG)
ダッシュボード化(Power BI)
を統合的に設計します。
これにより、
「誰が・いつ・どんな判断をしたのか」が一元的に管理され、
トレーサビリティが“自動で生成される”業務構造が生まれます。
項目 | 技術・サービス | 概要 |
---|---|---|
データ管理 | Microsoft Dataverse | 部門・システムを跨ぐ統合データベース |
アプリケーション | Power Apps | ノーコードで現場に即したアプリ構築 |
自動処理 | Power Automate / Logic Apps | 定型処理・通知・承認を自動化 |
検索・ナレッジ活用 | Azure AI Search + RAG構成 | 履歴・文書・マニュアルをAI検索 |
可視化 | Power BI | 品質・工程・判断の状況をリアルタイムで可視化 |
この構成は、既存の業務システムやExcelファイルとも連携可能で、
大きなシステム入れ替えをせずに導入できます。
装舎のトレーサビリティ設計は、単一企業内だけで完結しません。
取引先・委託先・協力工場などサプライチェーン全体をデータでつなぐ構造を設計します。
たとえば:
生産記録 → 出荷データ → 流通 → 小売までが一連のデータで追跡可能
第三者監査の際も、ログが即時参照できる
異常値・欠損値の検知も自動でアラート
これにより、
「証明書を発行する」のではなく、
“信頼できる実績データ”そのものが証明になる状態をつくります。
導入後、現場では次のような変化が見られます。
記録作業の時間が平均30〜40%削減
品質報告や監査対応の準備時間が大幅短縮
データが部門を越えて活用され、異常検知・予測分析が可能に
属人的な判断が減り、チーム全体の品質意識が向上
つまり、データが“記録義務”から“業務の財産”へと変わります。
装舎の考えるトレーサビリティとは、
「正しい工程を追跡する」ための仕組みではなく、
「正しい判断を積み重ねる」ための設計思想です。
AIと標準技術を活用することで、
現場の負担を減らしながら、企業全体の透明性と信頼性を高める。
その結果として、**消費者・取引先・行政から“選ばれる組織”**へと変わっていきます。