INSIGHT|コラム・リサーチ

紙とExcelの壁を越える

──装舎が考えるトレーサビリティの仕組み

紙とExcelでの記録は、一見効率的に見えても、
情報の属人化・非構造化・再現性の欠如を生み、
結果的に“品質の証明”を困難にしています。

装舎が提案するトレーサビリティ設計は、
現場の作業プロセスをデータモデル化し、Microsoftの標準基盤(Power Apps・Dataverse・Azure AI Search)上で再現可能にすることにより、
データの蓄積・再利用・共有が自動で行われる仕組みを実現します。

これは単なる“デジタル化”ではなく、
人の判断や現場の知見がAIとともに継承される仕組みを作ることを意味します。

1. はじめに|なぜ“紙とExcelの壁”が問題なのか

多くの現場では、品質・工程・出荷履歴などが紙帳票やExcelで記録されています。
一方で、サプライチェーンの高度化・輸出入の透明性強化・ESG対応が進む中で、
**「証明できる品質」**が求められる時代に入りました。

しかし、紙とExcelの管理は次のような課題を抱えています:

  • 担当者ごとに記録の形式が異なり、データの一貫性がない

  • 記録を分析・再利用するのに時間がかかる

  • トレーサビリティを第三者に示すときに再構築が必要

  • 更新ミス・重複・属人化により、現場の負担が増大する

2. 現場の実情:紙・Excelの運用が抱える構造的課題

多くの企業では、**“今のやり方をデジタルに置き換える”**形でシステム化を試みます。
しかし、この方法では「見た目がデジタルな紙帳票」になってしまい、
根本的な改善にはつながりません。

装舎では、問題の本質を

「情報がどのように生まれ、どのように意思決定に使われるか
というプロセス設計の不在と捉えています。

3. 装舎のアプローチ:業務プロセス設計から始まるトレーサビリティ

装舎はまず、現場の業務を詳細に分析し、
承認・報告・判断のプロセスをモデル化します。

このモデルをもとに、

  • 作業記録(現場入力)

  • データ統合(Dataverse)

  • 検索・参照(Azure AI Search + RAG)

  • ダッシュボード化(Power BI)
    を統合的に設計します。

これにより、
「誰が・いつ・どんな判断をしたのか」が一元的に管理され、
トレーサビリティが“自動で生成される”業務構造が生まれます。

4. 技術的リファレンス:装舎が採用する標準技術とアーキテクチャ

項目技術・サービス概要
データ管理Microsoft Dataverse部門・システムを跨ぐ統合データベース
アプリケーションPower Appsノーコードで現場に即したアプリ構築
自動処理Power Automate / Logic Apps定型処理・通知・承認を自動化
検索・ナレッジ活用Azure AI Search + RAG構成履歴・文書・マニュアルをAI検索
可視化Power BI品質・工程・判断の状況をリアルタイムで可視化

この構成は、既存の業務システムやExcelファイルとも連携可能で、
大きなシステム入れ替えをせずに導入できます。

5. データ連携の実際:現場・組織・サプライチェーンをつなぐ仕組み

  • 装舎のトレーサビリティ設計は、単一企業内だけで完結しません。
    取引先・委託先・協力工場などサプライチェーン全体をデータでつなぐ構造を設計します。

    たとえば:

    • 生産記録 → 出荷データ → 流通 → 小売までが一連のデータで追跡可能

    • 第三者監査の際も、ログが即時参照できる

    • 異常値・欠損値の検知も自動でアラート

    これにより、
    「証明書を発行する」のではなく、
    “信頼できる実績データ”そのものが証明になる状態をつくります。

6. 導入効果:記録を“負担”から“資産”へ変える

導入後、現場では次のような変化が見られます。

  • 記録作業の時間が平均30〜40%削減

  • 品質報告や監査対応の準備時間が大幅短縮

  • データが部門を越えて活用され、異常検知・予測分析が可能に

  • 属人的な判断が減り、チーム全体の品質意識が向上

つまり、データが“記録義務”から“業務の財産”へと変わります。

7. 結論|トレーサビリティは管理ではなく、信頼を設計する技術である

装舎の考えるトレーサビリティとは、
「正しい工程を追跡する」ための仕組みではなく、
「正しい判断を積み重ねる」ための設計思想
です。

AIと標準技術を活用することで、
現場の負担を減らしながら、企業全体の透明性と信頼性を高める。
その結果として、**消費者・取引先・行政から“選ばれる組織”**へと変わっていきます。

HOME|ホーム

01

HOME|ホーム

NEWS|新着情報

02

NEWS|新着情報

ABOUT|会社情報

03

ABOUT|会社情報

INSIGHT|コラム・リサーチ

04

INSIGHT|コラム・リサーチ

CONTACT|相談・共創窓口

05

CONTACT|相談・共創窓口

株式会社装舎

京都市下京区中堂寺南町134
京都リサーチパークASTEMビル8F
COPYRIGHT(C)2022-2025