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生産から販売までを一気通貫に

──顧客に届くトレーサビリティの設計

トレーサビリティとは単なる履歴管理ではなく、生産・流通・販売・顧客の間で「信頼が自動的に連鎖する仕組み」を設計することです。
装舎のAI×業務プロセス設計は、現場の業務手順や判断フローをモデル化し、Microsoft Power PlatformやDataverseを基盤に、部門・企業を越えたデータ連携構造を“現場で機能する形”で実装します。

これにより、企業は「誰が・どこで・どのように」製品を扱ったのかを即時に把握できるだけでなく、顧客もその情報を信頼できる形で受け取れる──
それが、“顧客に届くトレーサビリティ”の真の意味です。

1. はじめに|“見える化”だけでは足りない時代へ

かつてトレーサビリティは「問題が起きたときに遡るための仕組み」でした。
しかし近年では、消費者・取引先・行政が求める情報の粒度が変化し、
“トラブル対応のための記録”から“信頼を可視化するための仕組み”へと進化しています。

その中で課題になるのが、「データの断絶」です。
生産・加工・物流・販売の各段階がそれぞれ異なるシステムを使い、
データが統一されないまま管理されているため、現場では情報の再入力・照合作業が頻発しています。

2. トレーサビリティの本質は「連携構造」にある

多くの現場では、「どの情報を」「誰が」「どのタイミングで」記録するかが人に依存しています。
装舎のアプローチは、この部分をAIによるプロセスモデリングで最適化します。

たとえば、

  • 農業:生産記録、肥料使用履歴、天候データを自動収集

  • 加工:原料ロットと工程データを連携

  • 販売:消費者の購買ログや問い合わせをナレッジ化

これらを統一データモデルで結び、現場オペレーションに自然に組み込むことで、
人の手を煩わせずに情報が流れる「連携構造」を作り出します。

3. 生産から販売までのデータ連携モデル

装舎が構築するシステムは、Microsoft Power Platform と Azure AI Search を中核に据えています。
これにより、

  • Power Apps:現場担当者がスマホ・タブレットで簡単入力

  • Dataverse:入力データを一元管理

  • Power Automate:次工程へのデータ連携を自動化

  • Azure AI Search:ナレッジベース化された過去情報を即座に検索

といった、一気通貫のトレーサビリティ構造を可能にしています。

このアプローチの強みは「既存システムを置き換えない」こと。
既存のERPや販売管理と連携しながら、徐々に全体を再設計していくため、
現場負荷を抑えつつ着実に“データのつながる組織”に進化できます。

4. AI×業務プロセス設計が果たす役割

AIは人を置き換えるのではなく、判断の再現性と精度を高める役割を担います。
装舎のプロセス設計は、業務の中で行われている“人の判断”をデータ化し、
AIが適切な情報提示や自動承認を行う設計を施します。

たとえば、

  • 異常データの自動検知(出荷ロットの温度・日付など)

  • 承認ルートの自動判定(人の経験に基づくパターンを学習)

  • 消費者問い合わせへのRAG応答(製品ロットから根拠を提示)

これにより、データが単なる「記録」から「運用を動かす資産」に変わります。

5. 現場導入のステップと成功事例の傾向

トレーサビリティ導入は「全体設計」から始めると失敗します。
装舎では、次の3ステップで小規模からの実証を推奨しています:

  1. モデル化:対象業務(例:仕入〜出荷)を抽出し、プロセスをAIでモデル化

  2. パイロット導入:1拠点・1製品ラインで検証

  3. 全体展開:組織全体・サプライチェーン全体にスケールアップ

実証を重ねることで、現場の判断基準や運用ルールが“自然にデータ化”され、
現場主導の改善サイクル(PDCA)が回るようになります。

特に食品・製造業界では、「現場のデータが経営判断に直結する構造」へ進化するケースが増えています。

6. 結論|トレーサビリティは「信頼の構造」を設計する技術へ

トレーサビリティはもはや「規制対応」ではありません。
それは、生産者の誠実さを証明し、顧客との信頼を構築する新しい経営基盤です。

装舎は、その信頼の構造をAI×業務プロセス設計で可視化し、
「品質・責任・誠実さ」をデータとして次の世代に継承できる形にします。

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