INSIGHT|コラム・リサーチ

実務で試し、学び合う

──生産現場のトレーサビリティ実証プロジェクト

トレーサビリティの仕組みは「導入して終わり」ではなく、現場で検証し、改善を重ねてはじめて“信頼の構造”になる。
装舎のトレーサビリティ実証プロジェクトは、AI×業務プロセス設計を用いて、
**「人の判断」「データの連携」「業務の再現性」**を同時に設計する取り組みです。

このプロジェクトを通じて、生産・流通・販売の各現場で、
「何が品質を支え、どの情報が信頼をつくるのか」を事実ベースで検証します。
結果として、組織のノウハウが“共有できる資産”として定着し、
安全性・効率性・ブランド価値のすべてを強化することができます。

【1】なぜ今、現場で“実証”が必要なのか

これまでのトレーサビリティは、多くの場合「外部認証機関」や「システムベンダー」によって管理されてきました。
しかし、近年では証明機関のガバナンス低下や、形式的な記録運用が問題視され、
“誰が何をどのように証明しているのか”が不透明になっています。

こうした課題に対し、装舎は「現場が主体となるトレーサビリティ」を提案。
各工程で実際に行われている業務(例:製造指示、検品、出荷確認など)を業務プロセスとしてモデル化し、AIで補完・検証します。
これにより、「形式的な管理」から「再現可能な品質保証」への転換を図ります。

【2】実証プロジェクトの技術構成

装舎の実証モデルは、Microsoft Power Platform(Power Apps・Dataverse・Power Automate)とAzure AI Searchを統合して構築されています。

構成要素機能概要実際の効果
Power Apps作業現場の入力フォームをノーコードで設計現場担当者がスマホ・タブレットで記録可能
Dataverse各部門のデータを安全に統合部署をまたいだ情報連携を実現
Azure AI SearchRAG(Retrieval Augmented Generation)構成過去の記録や判断理由をAIが参照・提示
Power Automate承認・報告フローを自動化人の判断とAIの補完を両立
AIモデル連携作業傾向・異常値検知・判断補助経験依存の削減と品質の平準化

この仕組みは、単なる「デジタル化」ではなく、
**人の判断・行動をデータ構造として記録する“業務の構造化”**を目的としています。

【3】実際の現場検証:成果と課題

実証を行った複数の現場では、次のような効果が確認されています。

  • 作業記録の抜け漏れが90%以上削減(自動リマインド機能の効果)

  • 品質異常の早期検知率が向上(AIモデルによる閾値検知)

  • 部門間の報告レスポンスが平均2.5日から数時間に短縮

  • 文書・報告書作成の自動化により、担当者の作業時間を40%削減

一方で、現場の課題としては以下が挙げられました。

  • 現場ごとの手順差異(属人的な作業手法)の吸収

  • AIに記録を任せすぎない「人の確認ポイント」の定義

  • データ更新頻度と現場負担の最適化

これらは、**「AIが置き換える」ではなく「AIが支える」**ための調整課題として重要な検討項目です。

【4】実証プロジェクトの進め方

装舎では、次の3段階で実証を進めています。

  1. ヒアリング・現状モデル化(1〜2ヶ月)
     現場観察・業務ヒアリングを通じ、プロセスフローを図式化。

  2. AI統合設計・パイロット導入(2〜3ヶ月)
     既存システムとの接続・RAG構成・承認フロー自動化を試験導入。

  3. 現場運用・フィードバック(3〜6ヶ月)
     実運用の中でAIモデル・プロセス構造を最適化。

最終的には、参加した組織がそのまま“トレーサビリティ運用モデル”を他部門やグループ企業に展開できる状態を目指します。

【5】今後の展望:コミュニティと共に広げる品質証明

本プロジェクトの知見は、装舎が運営するコミュニティ 「SUSTAIN ABLE DESIGN」 に共有されます。
参加者は、実際の業務データをもとにAIモデルを検証し、
「品質の可視化」や「信頼の設計」に関するノウハウを相互に学ぶことができます。

これにより、業界・企業の枠を超えた「実装知のネットワーク」が形成され、
現場で再現可能な品質保証の新しいスタンダードを共創していきます。

まとめ

装舎のトレーサビリティ実証プロジェクトは、
単なるAI導入ではなく「現場の実践知をデータで残し、誰もが理解できる品質保証を実現する」ための仕組みです。

“システムで信頼を語れる時代”へ。
それを現場とともに創るのが、私たち装舎です。

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