これからの6次産業化において重要なのは、AIや自動化を“置き換えの手段”としてではなく、人の知恵・判断・関係性を可視化し、未来に継承できる仕組みとして活用することです。
技術は文化を置き換えるのではなく、文化を支えるために使われるべきもの。装舎のAI×業務プロセス設計は、地域で働く人の感覚や暗黙知をシステム化しながら、誰が担っても同じ品質を保てる構造をつくります。
その結果、生産者が主役のまま、持続可能で成長し続ける産業のかたちが実現します。
農業、漁業、製造――いずれの分野でも、AI・IoT・DXという言葉は広がりました。
しかし、現場で最も求められているのは“人が安心して判断できる仕組み”です。
AI導入が目的化すると、操作が複雑になり、結果として「使われないシステム」が増えるという課題が起きています。
6次産業化の現場では、“人が主役”の設計思想が欠かせません。
実際の6次産業化では、以下のような分断が生じやすいことが知られています:
加工や販売の現場で得られたデータが、生産現場に戻らない
品質判断が「勘と経験」に依存して属人化している
補助金や規制情報が散在し、意思決定に時間がかかる
結果として、「良いものを作っても伝わらない」「販路拡大が続かない」という課題に直面します。
装舎が行うのは、単なるAI導入ではありません。
業務プロセスそのものをモデル化し、AIが“判断を支える環境”をつくることです。
例えば:
Power Apps+Azure AI Search を用い、承認・報告・判断のフローを自動整流化
Dataverse による業務データの統合で、部門・組織を超えて一貫性のある情報連携
RAG(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、過去の事例や判断根拠を即時参照
これにより、AIが“人の判断力を拡張する相棒”として機能し、日常業務の中で自然に組み込まれるようになります。
技術は伝統を置き換えるものではなく、記録し、継承し、広げるための媒体です。
たとえば、地域固有の加工技術や発酵文化を、センシングデータと業務記録で保存し、再現可能なプロセスとして設計します。
こうして、「文化資産の可視化」と「品質の再現性」を両立する仕組みが生まれます。
この考え方は、装舎が提唱する「SUSTAIN ABLE DESIGN」の根幹にも通じます。
これからの6次産業化における“人の役割”は、次の3つです:
① 感覚の翻訳者:AIに任せるために自らの感覚や判断を言語化・データ化する人
② 関係のデザイナー:地域や他産業とのつながりを構築し、共創を促す人
③ 品質の守り手:技術が正しく機能しているかを現場で検証する人
装舎の仕組みは、これらの役割を支えるために設計されています。
技術が“人を置き換える”のではなく、“人が育つ”仕組みを支えるために存在します。
6次産業化の未来とは、人・技術・文化が同時に成長できるサプライチェーンの再構築です。
AI×業務プロセス設計により、属人的だった判断や知識を組織的な資産として継承し、地域社会の力を産業として循環させる。
それが、装舎の目指す「人を中心に据えた技術実装」の姿です。