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AI導入で“らしさ”を失わないブランドのつくり方

— 技術と文化を両立させる「業務プロセス設計」という新しいブランディング戦略 —

AI導入の成否を分けるのは、技術そのものではなく、「どのプロセスに、どの判断を、どの文化の文脈で組み込むか」という設計思想です。
多くの企業がAIを“自動化ツール”として捉える一方で、装舎は業務プロセスをブランドそのものの一部として再設計する
ことを重視しています。

つまり、AI導入の目的は「効率化」ではなく「文化の継承を仕組みにすること」。
AIによる標準化と、人が持つ感性の接点をどう構築するかが、組織の“らしさ”を守りながら進化する鍵です。

1. はじめに|AI導入で多くの組織が見落とす「ブランドの危機」

AI導入は生産性を高める一方で、ブランドを支える“人の判断”を置き換える危険もあります。
特に、日本企業が長年積み上げてきた「判断の文脈」や「暗黙の価値観」は、数値化しづらく、AI導入のプロセスで抜け落ちがちです。
結果として、**“効率は上がったが、らしさが消えた”**というケースが少なくありません。

2. なぜAI導入で“らしさ”が失われるのか — 現場の3つの典型例

① 一律の判断ロジック化
顧客対応や品質管理のAI導入で、「文脈」を理解しない一律判断が増加。これにより、“人が大切にしてきた対応姿勢”が希薄に。

② 業務標準化による暗黙知の喪失
Excelやワークフローで可視化できる部分だけをモデル化し、**熟練者の非言語的判断(例:季節感・顧客の空気感)**が失われる。

③ ブランド体験の分断
AIが接客・広報・品質保証など複数の接点に導入される際、ブランドトーンの統一が崩れ、“らしさ”の一貫性が薄まる。

3. 装舎が考える「ブランド維持型AI導入」とは何か

装舎では、AI導入を「現場の再設計」ではなく「組織の思考の再現」として捉えています。
私たちが行うのは、単なるシステム実装ではなく、現場の判断基準・感性・優先順位をデータモデル化するプロセス設計です。

この方法により、AIが「誰かの代わり」ではなく、**“組織の文化を引き継ぐ支援者”**として機能します。

4. 技術面から見る“らしさ”を守るための3つの実装指針

① RAG(Retrieval-Augmented Generation)を用いた判断文脈の再現
AIが自律的に生成するのではなく、組織固有のナレッジベースを参照して回答を生成する仕組みを採用。
「過去の判断」を学習データとして再利用し、“一貫した対応”を維持。

② 業務プロセスのデジタルツイン化
実際の業務フローをPower AppsやDataverse上に再現し、**“実行可能な判断構造”**としてAIに組み込む。
手順の標準化だけでなく、判断理由や感性を残す設計。

③ 品質保証プロセスへのAI統合
AIが生成した判断・提案を、担当者が評価・承認するループを構築。
自動化ではなく“半自律的な共創”として、品質とブランドの両立を実現。

5. ケーススタディ:文化と効率を両立させた導入事例

食品製造業の例
熟練職人が持つ「季節ごとの味の微調整」をRAGモデルで知識化。
AIは過去の調整履歴と気温データを照合して提案を行い、最終判断は職人が下す。
結果、生産ラインは自動化されつつも、味の一貫性と文化が維持された。

カスタマーサポートの例
FAQやテンプレート回答ではなく、「組織の哲学」をベースにした対話モデルを構築。
AIが“言葉遣い”や“間の取り方”を継承し、ブランドの声として機能。

6. 結論|“ブランドはプロセスで育つ”という発想へ

AI導入によって変わるのは「業務」ではなく「文化の継承方法」です。
装舎は、AIを組織の感性を翻訳し、再現するインフラとして設計します。

ブランドとは、ロゴやコピーではなく、日々の判断・言葉・手順の積み重ねで形成されるもの。
だからこそ、AIの導入設計がその未来を左右します。

「AIで変わらないために、AIで変わる」
それが、装舎が提案する“ブランド維持型AI導入”の本質です。

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